花粉症を完治させるのは非常に難しいことなので、現在行われる花粉症の治療は、主に症状を出にくくし、既に出ている症状を軽くするためのものとなります。
現在病院などで行われている花粉症の治療方法は、抗アレルギー薬を使用する薬物療法が基本になっています。使用する薬も花粉症の症状の程度で違ってきます。花粉の本格的な飛散が始まる前の、症状が出る前から治療を始めると、花粉症の予防効果もあり作用の穏やかな薬でも高い効果を得られますが、既に花粉症の症状が出てしまっている場合は、一時的に即効性の薬を通常使用する薬と併用したりします。症状が重い場合は、免疫システムそのものに働きかける減感作療法や、鼻の粘膜を焼くレーザー手術も検討します。
多くのアレルギー患者がそうであるように、花粉症を完全に治すことは簡単ではありません。上記の治療法も完治を目的とした治療ではなく、症状を出にくくしたり、既に出ている症状を軽くするためのものです。そしてその効果にも個人差があります。
抗アレルギー薬を使用する基本的な薬物療法を紹介します。
●抗ヒスタミン薬: 最も代表的な花粉症の治療薬です。ヒスタミンが鼻の粘膜にでヒスタミン受容体と結合するのを阻害し、くしゃみや鼻水の分泌を抑えます。即効性はありますが、眠気やのどの渇きなどの副作用が出やすい薬と、やや遅効性ですが副作用を抑えた薬とがあります。
●遊離抑制薬: アレルギー反応に関わる化学伝達物質を抑制する薬です。IgE抗体がマスト細胞(肥満細胞)に付着した後、ヒスタミンなどがマスト細胞から放出されるのを抑制します。
●ステロイド薬: ステロイド薬は一般に効果が強く、効果が現れるのが早いです。アレルギー反応を一時的に抑制して炎症を止める、副腎皮質ホルモン薬があり、症状のが現れる部位より内服薬、点眼薬、点鼻役を使い分けます。
●減感作療法: 原因である花粉症の成分を少しずつ注射し、免疫システムを徐々に慣れさせて、体質改善により過剰反応を抑える治療法で、免疫療法とも言います。根本治療も期待されますが、専門医による体質改善のために2年以上続けることが必要とされているため、それほど普及していません。期間の短縮や成分の舌下投与も研究中でその可能性が注目されています。
●レーザー手術: レーザーで鼻の粘膜を焼くもので、両鼻で20分もあれば終了する日帰りで出来る手術です。炎症を起こす粘膜が取り除かれ、花粉に反応しにくくなりますが、粘膜はやがて再生するので、効果の持続は1〜2年程度になります。その場合、レーザーを再照射すればほとんど大丈夫です。 気になる治療費ですが、1996年4月からこの治療法は健康保険が適応になったため、両鼻で1万円程度です。