花粉症はスギやイネなどの花粉が原因となるアレルギーの一種で、健康な体を保つために欠かせない免疫が過剰反応したものです。
花粉症はスギやイネなどの花粉が原因となるアレルギーの一種です。実はこの花粉アレルギーは、健康な体を保つために欠かせない免疫が関係しています。健康な体を保つための人間にとってなくてはならない、細菌やウイルスなど、有害なものを排除するための仕組みが、花粉に過剰反応してしまうことがあるのです。その過剰な反応と言うのがくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどとなって現れるのです。
花粉症は日本で初めて発見されてから、まだ40数年しかっていない比較的新しい病気です。昭和36年にブタクサの花粉による花粉症患者が発見され、その2年後にスギ花粉によるか花粉症患者が発見されました。それ以来、花粉症患者は年々増加する一方です。ちょうど高度成長期や戦後の植林政策、全国で進む都市化なども花粉症患者が増加する要因になったと考えられます。
人間の体は外部から異物(抗原)が侵入すると、これらに反応する物質(抗体)が作られます。ここまでは免疫の正常な働きですが、IgE抗体を作る能力を持っている人を花粉アレルギー体質と言います。逆に言うとlgE抗体を作らない体質の人は花粉症になりません。しかしIgE抗体を持っているからといって直ぐに花粉症になるわけでもありません。IgE抗体を持つ人は、花粉を吸い続けてIgE抗体が作られた量がある一定のレベルを超えたとき発症します。「ある一定のレベル」には個人差があります。
IgE抗体が反応するのは特定の花粉に対してなので、その花粉が身体に侵入しないような環境で生活をすれば、花粉症を発症しないまま一生を終える人もいます。ただし、いつでも発症する可能性のある予備軍と言えます。
IgE抗体は血液とともに全身に行きわたり、全身に分布しているマスト細胞(肥満細胞)と言う特殊な細胞の表面に付着します。マスト細胞はそのときIgE抗体からの信号を受け、ロイコトリエンやヒスタミンなどの化学物質を大量に放出します。
ヒスタミンは、くしゃみや鼻水の分泌をおこします。ロイコトリエンが鼻の血管に作用すると鼻がづまり、目の血管に作用すると、かゆみや涙といった症状が現れます。これらの花粉症の症状は、本来なら全て異物が体内に入って来ようとするのを、入り口でストップさせるための防御反応なのです。つまり花粉症の症状は、入ってきた花粉をくしゃみで吹き出し、鼻水で洗い流し、鼻づまりでこれ以上は入らないようにして、異物から体を守っていることの表れなのです。